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【コラボ】西武信用金庫×西の風 Baton〜未来へつなぐ  vol.28 大きな力に導かれて幸せ経営 株式会社井上店 個性豊かな名物社長 井上佳洋社長 

2026年5月21日

 当コーナーは西武信用金庫と西多摩の地域メディア西の風新聞社とのタイアップ企画です。3年目の2026年度は「若手経営者」「女性後継者」「100年企業」「個性豊かな名物社長」などのテーマで、西武信用金庫の取引先を支店担当者と本紙記者が訪ね、事業紹介と合わせて地域や未来への思いを聞きます。


大きな力に導かれて幸せ経営

 生まれ育った檜原村の地で、妻を含む9人の従業員とともに燃料販売・飲食業・宿泊業・林業など多角経営の井上店を営む。「地域の水と空気を守る」という使命感を持ち、自らも現場の一員として主要事業の山の整備に汗を流す。くしゃくしゃの笑顔で周囲を和ませ、地元では「よっちゃん」の愛称で親しまれている。

 3人きょうだいの長男。父が興したガス店を継ぐことを子ども時分から意識して育ち、小学校の卒業文集には「日本一のガス屋になる」と記していた。家業への思いを温めつつ、大学卒業後は建設業など2社を経験。30代、父親が雪の日に骨折したのを機にバトンタッチを言い渡されるが、提示された月給は3万円。建設会社の現場監督を務め、月に80万円の稼ぎがあった時期だ。事業を畳むよう提案したものの、肩を落とした父の姿を見て「継ごう」と心を決めた。

 現実は甘くなかった。仕入れ先の昭島から運んだ灯油を1週間かけて売る従来のやり方では利益はわずか。効率を高めるため、半年かけて自ら石油の地下タンクを建設。地道な努力が地元の信頼を集め、オープン初日に1週間分の販売量を1日で売り上げるほどの応援を受けて事業は軌道に乗った。

 2006年、妻の希望をかなえ自家製酵母パン店「たなごころ」をオープン。眼前に広葉樹の山、眼下に秋川の絶景を生かし、薪釜ピザやパスタなども提供するくつろぎの空間を増設した。さらに、愛犬と泊まれる宿泊施設や流行のロウリュサウナを開設。着実に「たなごころビレッジ」を拡充させている。

 新規事業を次々形にする井上さんだが、人生や事業における重要な出来事・決断は、自分の意志ではなく「上から降りてきた」指示や大きな力によって導かれていると感じている。高給取りから月給3万円への転身は商売を通じて謙虚さを学ぶため、林業が経営の柱となっているのは「水と空気を守る」使命を全うするため、昨年サウナ客が皆無の時期があったのは1件の予約の有難さを再認識するためだと受け止める。

 自身を支えるもう一つの大きな力は「15歳からの付き合い」という妻の存在。先に就職し大学生の自分を経済的に助けてくれたり、月給が大幅に減る状況でも前向きな言葉をかけてくれたり。同居して両親や祖母まで大事にしてくれた妻には頭が上がらない。「かみさんには本当に世話になった。一生尽くして恩を返さなきゃという気持ちがある」

 地域や妻への深い恩義を胸に95歳まで現役を目指す。

【プロフィール】
井上佳洋(いのうえ よしひろ)

1960年、檜原村人里生まれ。明星大学理工学部土木工学科卒業。村内の建設会社勤務を経て1995年、家業の井上商店を承継。2018年、法人化して株式会社井上店に。「人里もみじの里」会員で、地域の山に広葉樹を増やす活動に力を入れている。


【訪問者】西武信金 五日市支店 コーディネート担当 藤森さん(25)
 井上社長の人生経験から檜原村への深い想いをうかがえた有意義な時間でした。村の一番の魅力である自然を活かすためサウナ事業を始めたり、奥さまの夢をかなえるためにパン屋「たなごころ」を開いたり。「ありがとう、うれしい、感謝します」等の言葉を発すると良いことが起きるとの教えを実践しています。

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