奥多摩町 IT技術で町を盛り上げたい 移住者のゲームクリエーター 濱田隆史さん

旧小河内小学校の用務員室をCode for Okutamaの事務所として使う濱田さん。 「この時期は寒いが、静かで集中できる。和室もお気に入り」と話す
旧小河内小学校の用務員室をCode for Okutamaの事務所として使う濱田さん。
「この時期は寒いが、静かで集中できる。和室もお気に入り」と話す

 昨年4月に奥多摩町氷川に移住したゲームクリエーターでゲーム制作会社ギフトテンインダストリ(国分寺市)代表の濱田隆史さん(37)は、IT技術で町を盛り上げたいと新事業「Code for Okutama」を1月から開始。プログラミング教育、一定期間内でアプリケーションやサービスを開発するイベント「ハッカソン」、自然体験オンラインツアーなどの活動を展開していく。

 多摩地域で活動するさまざまなジャンルのクリエーターと交流を図りたいと1月29、30両日、世界各地で同時刻、共通テーマで48時間以内にゲーム完成を目指す「グローバルゲームジャム」の奥多摩会場を主宰。オミクロン株拡大により春に延期となったが、今後もさまざまなイベントを企画していきたいという。

 埼玉県出身。武蔵野美術大学でプロダクトデザインを学んだ。在学中に「任天堂」でゲーム開発のインターンを経験した後、ゲーム制作会社「ハル研究所」に就職した。

 大企業では需要がなく開発が難しい視覚障害者向けのゲームや、アナログとデジタルを融合した新しい形のゲームに挑戦したいと、大学時代の友人2人と2015年に会社を設立。18年にはNintendo Switchのゲームソフトながら、紙を使うアナログ的な要素を盛り込んだ同社ヒット作「マドリカ不動産」をリリースした。

マドリカ不動産をプレーする様子
マドリカ不動産をプレーする様子

 新型コロナの感染拡大で休校が続く学校の現状を小学校教員の妻から聞き、家でも楽しく勉強ができるようにと教育系ゲームの開発に着手。20年5月に無料で多言語学習ができるウェブアプリ「コトバハカセ」、昨年11月にNintendo Switch「リズムで英語 ビートトーク!」を発売した。

 コロナ禍で都心部での打ち合わせなどが減ったことや自然豊かな場所で子育てしたいと考え、子どもの小学校入学のタイミングに合わせ、町の定住促進事業を活用し国分寺市から移住した。

 直後に小学校での読み聞かせボランティアに参加するなど地域活動にも取り組む濱田さんは、「今後は町の放課後子ども教室でプログラミング教室を開くなどの教育活動にも力を入れていきたい。自分ができることを生かして少しでも地域の役に立てれば」と意気込みを語った。(鋤柄)