あきる野 二宮神社「東京で最も美しい」  武藤さん執筆の「縄文神社」で紹介

「コロナで時間ができ、丹念に取材、執筆できた」と著書を手に武藤さん。文中のイラストも手掛けた

東京で最も美しい場所――。6月に飛鳥新社から発行された武藤郁子さん(48、埼玉県東松山市)の著書「縄文神社 首都圏篇」(1760円)で、あきる野市の二宮神社がそう紹介されている。崖下の湧水(お池)の美しさ、眺めの素晴らしさ、そして吹き抜ける風の心地よさ。それらに「初めて参拝したときからすっかりやられてしまいました」と記している。

縄文神社とは、武藤さんが打ち出した定義で、縄文遺跡と神社が重なっている場所のこと。武藤さんは歴史分野のフリー編集者の傍ら、コロナ禍で思いがけず生じた時間を利用し、かねて関心のあった縄文と神社を結びつけた著書の執筆に取り組んだ。

高台に位置し、近くに湧水があるなど複数の条件を満たした首都圏の神社を昨年6月以降105社めぐり、40社に絞り込んでA5判192㌻の著書にまとめた。

そのうち11㌻を二宮神社の紹介に割いている。先代の故河野清亮宮司とは電話で何度もやりとりし、資料の提供も受けた。コロナ禍で面会はかなわなかったが、出版前の今年初めに原稿を読んでもらい、「あなたの考えには全く違和感がない」と、神社のある場所が古くから祈りの場であったという認識を共有できたという。

「資料を読み込んだ上で、現地に身を置き人間としてどう感じたかを忘れないように書いた」と武藤さん。著書を参考に縄文神社を訪れ、気持ち良さや心が整う感覚をぜひ体感してほしいという。

ちなみに二宮神社参拝のポイントは、「まず、お池を堪能し、急坂を上ったら振り返ってまちを見下ろす。境内を一通りめぐり、隣の考古館に立ち寄って縄文土器を見たら完璧です」

本著では同市網代の貴志嶋神社も紹介されている。(伊藤)