青梅市 小沢製作所 たき火台でグッドデザイン賞

金属加工に親しみを持ってもらいたいと、これまでにも卓上時計、ランプ、タブレットスタンドなどを作った

青梅市今寺の小沢製作所(小沢昌治社長)が開発したたき火台「MOSS FIRE」が、2021年度のグッドデザイン賞を受賞した。「金属加工の魅力を知ってもらいたい」という小沢社長(53)の思いが詰まった商品だ。

同社は企業から発注された金属部品等を製造する精密板金加工業。金属加工に興味を持つ人が増えるよう、18年から魅力を伝える活動を始めた。青梅オープンファクトリーの参加、ワークショップを開くなど年に1回程度活動。20年に商品販売を通して金属加工の魅力を伝えようと、たき火台の開発をスタートさせた。

同社が一般消費者向けの商品を開発するのは初めて。たき火台を作ったのは、融点が高い金属の特性を生かしやすいから。少人数のキャンプブームが広がっていたこともあり、特にたき火が好きな「たき火スト」に的を絞った。手軽に持ち運べて簡単に使え、片付けも手間がかからないデザインを、金属加工技術で実現することに注力した。

5枚は浅型、4枚は深型になる

ステンレスのひし形状パーツが5枚で1セット。地面に近いたき火がしたい場合は浅型になる5枚、コンロとして使いたい場合は深型になる4枚と利用法で使い分ける。足の部分は三角型に大きく肉抜きしてあるため、約5分で軍手越しに触れる程度の温度まで下がる。

金属板は温度変化で歪みやすい。少しでも歪みにくくするため、肉抜きした穴の形、パーツの形など試作品を何個も作って実際の使用を想定したテストを繰り返した。板厚1㍉程度だが変形しづらく、頑丈に仕上がった。小沢社長は開発期間を「たき火ノイローゼになりそうでした」と振り返る。

賞を受けて「講評では構造が機能を兼ねている点を評価したとあり、力を入れたところを評価していただけたのがとてもうれしかった」と話した。

たき火台(2万3000円〜)はオンラインで発売している。問い合わせは0428(31)7387まで。(藤野)