発売35年のロングセラー 瑞穂町 プリモの助聴器「聴六」

新シリーズ
わが社の一押し製品
西多摩の経済をけん引する製造業の会社を訪ね、一押しの自社製品を紹介していきます。

これまでに開発した助聴器。「聴六」は右から2つ目
これまでに開発した助聴器。「聴六」は右から2つ目

 創業70年、マイク製造のパイオニア㈱プリモ(本社・瑞穂町、代田大輔社長)の一押し製品は「聴六(ちょうろく)」。同社が1988年に発売した「聴こえ」を「助ける」器具—助聴器の手持ちタイプの4代目だ。写真のように器具を軽く耳に押し当てると、高性能のマイクが会話相手の声を集め、クリアな音を耳に届ける。

 社員が「出張先の海外で見た」という製品の話をもとに、補聴器メーカー出身の創業者が開発に取り組んだ。便利な反面、高価で調整が自由にできない、小さすぎて無くしてしまうといった補聴器の難点を解消し、値頃感があって手軽に扱える製品をめざした。

 こうして誕生したのが初代「聴太郎」。その後、客の声を参考に改良を重ねて「聴子」「聴吾」が生まれ、ガラケー型の「聴吉」をはさんで最新は「聴六」とスマホ形の「聴七郎」になった。

 ユーザーの多くは高齢者。初代から使用する人や、自宅に複数台を所有する人など、愛用ぶりが目立つ。補聴器のように繊細なフィッティングが要らないうえ、必要時に耳に当てるだけの手軽さと音質の良さが魅力という。

「聴六」を使って代田社長と会話するトランポリン日本代表選手の佐竹玲奈さん(企画広報課勤務)
「聴六」を使って代田社長と会話するトランポリン日本代表選手の佐竹玲奈さん(企画広報課勤務)

 営業担当者は「ご家族との会話はもちろん、普段聞き慣れない声に触れる病院や役所、銀行などの窓口で、より重宝されています」と有効利用の場は自宅だけに限らないという。

 1台2万2000円。デモ機の2週間貸し出しや修理も受け付ける。問い合わせ・購入は同社のウェブサイトまたは042(556)8711まで。

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 こもった声質の記者の言葉はマスクをつけるとより聞き取りづらく、年配者との会話に往生していた。早速1台購入し相手に使ってもらうと、取材が驚くほどスムーズに。重宝の一品。   (伊藤)