当コーナーは西多摩地区に12の営業支店を置く西武信用金庫と西の風新聞社とのタイアップ企画です。西武信金の取引先であり、西多摩近隣で頑張る経営陣を担当支店の若手職員が訪ね、地域との関わりや未来への思いを聞きます。記事は原則毎月第2木曜に掲載、当面は女性経営陣を紹介していきます。
先代の事業を守りつつ発展させる
マンション・ホテル開発を含む総合建設業、不動産賃貸業を中心に飲食業や大衆演劇の劇場経営も手がける五光建設(あきる野市山田)の社長に就いて5年。「先代が作ったものを守りながら発展させていくのが2代目の役割」と、父で創業者の中原誠一郎さん(82)を尊重しつつ、時代に合わせた事業展開を心がける。
大学卒業後に入社した情報処理会社を数年で退職後、「バイトでいいから」と父に誘われ同社で5年ほどマンション営業を手伝った。勧められるままに30歳手前で宅地建物取引士の資格を取得。営業レディーとして「これから」という時、今度は他社から営業を引き継いだ福島県伊達市の健康ランドに単身派遣されることに。40〜50人の従業員を抱える大規模な入浴施設であきる野に戻るまでの12年間支配人を任され、2020年の廃業まで運営に携わった。従業員との接し方や経営感覚など多くのことを学び、それが経営者となった自身の核をなしている。
東京と福島を行き来しながら事業承継の準備を進め、2019年7月に社長就任。会社を継いでほしいという先代の求めに「やってもいいかな」と思えたのも福島での経験が大きく影響している。地元福島のライオンズクラブや青年会議所に入会し、懇意になった創業者や2代目社長から事業の失敗談や経営の醍醐味を聞く機会を多く得た。「サラリーマンや結婚して家庭に収まった同世代の友達の話よりも、経営者の話の方が正直しっくりきた」と、周囲に触発されて覚悟が定まっていったと振り返る。
社長就任直後に先代が大けがで入院し、「しっかりしなきゃ」と身が引き締まった。その先代は本人の熱い気持ちと努力の甲斐あり、1カ月後に「意外と元気に復活し」、五光建設の役員を退いた現在も業務提携する別会社で同社の営業を担っている。
1968年、鉄工所からスタートし、建設、不動産へと事業を発展させてきた人だ。「先代はイノベーション(変革)を重ねて会社を存続・発展させてきた。意識したわけでなく経験に基づいて起こした行動が自然とイノベーションになっていたとのこと。そのつどちゃんと成功してきたことが自信になっていると思う。そこは引き継げるよう私も努力と経験を重ねたい」。一方、書類の電子化や人材確保など業務の効率化を図る取り組みは自身の代で進めていく。
ほのぼのとした雰囲気の癒やしキャラで、嫌なことも「呑んで忘れる」タイプ。ただ、仕事で怒らないのは「感情のまま相手を責めても良いことはないと経験上知っているから」。これも福島で学んだことの一つという。
「誰かのため、何かのために働くモチベーションを大事にしたい」と、東京秋川ライオンズクラブで奉仕活動に努める。夢は世界一周の旅をすること。好奇心を忘れず新たな出会いを楽しむという意味でも「旅人でありたい」と詩人のような一言で取材を締めくくった。

【プロフィール】中原 聡美(49)
1975年生まれ。亜細亜大学経済学部を卒業後、都心の情報処理会社に勤務。2000年、株式会社五光建設入社。自社分譲マンション販売を経て07年、東日本健康ランドカッパ王国(の支配人に。13年五光建設取締役、16年副社長、19年に社長就任、現在に至る。

【訪問者】西武信金 福生支店 コーディネート担当 長澤さん(32)
日々の活動ではお客さまと短期的な目線でお話しすることが多く、長期的な展望や今後の夢を伺える機会はとても貴重です。今回の取材では中原社長のこれまでの経歴や代表者になってから今までのお考え、今後の会社、ご自身の夢について伺うことができ、今からどんな形で私たちがお役に立てるのか想像してわくわくしました。
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