関東初 青梅に土のサウナ 築150年の古民家一棟貸し

 サウナ界注目の、土で作る「アースバッグサウナ」が1月、関東で初めて青梅市駒木町に開業した。山本幹太さん(30)と鈴木翔さん(27)が共同代表を務めるHIDANE(本社・横浜市)が運営。青梅に生活拠点を移し、大事業に乗り出した若い2人を応援しようと、地元有志が実行委員会(武藤一由委員長)を作り、4月11日のオープニングパーティーで地域の人と引き合わせた。

鏡開きに参加する鈴木さん、山本さんと、さかさま不動産の藤田さん、大家の青木さん、大勢待市長ら

 新サウナはJIKON SAUNA TOKYO(ジコン サウナ トウキョウ)。築150年の蔵付き邸宅をリノベーションした一棟貸し古民家宿で、日帰り利用もできる。サウナは木よりも蓄熱性の高い土でできており、やわらかい熱が長時間持続するのに加え、息苦しさを感じにくい。空間の良さもあいまって、ネット上のクチコミで高評価を得ている。

敷地内の蔵を改修し土壁のサウナに

 ともにサウナ愛好家の山本さんと鈴木さんは、これまでに全国約500のサウナを体験。それぞれIT企業に勤務する傍ら、サウナ施設を紹介するSNSメディア(フォロワー数約5・2万人)を2021年から運営している。

 沖縄で体験した新感覚のアースバッグサウナに衝撃を受けた2人は、それがまだ存在しない首都圏にも作りたいと22年から物件探しを始め、「さかさま不動産」(名古屋市)を通じて23年9月に当地と出合い、物件を借りることに。会社を退職し翌年1月、HIDANEを設立。金融機関からの融資に加えクラウドファンディング(CF)で約1600万円を集め、建物改修費等の創業資金に充てた。

 青梅のキーパーソンとして山本さんが最初に家主に紹介されたのが、ちゃんちき堂の久保田哲さん。久保田さんを起点に数珠つなぎにつながったのが実行委のメンバーで、2人が地域に溶け込めるよう地域とのつなぎ役を買って出た。

 オープニングパーティーで武藤委員長は「若い2人がよそから青梅に来て、つながりのない中で頑張ろうとしている。青梅を気に入ってくれていることもうれしい」と今後も応援を約束。山本さんは「地元の方々の協力がなければ絶対に完成しなかった」と感謝し、鈴木さんは「青梅を体験できるオフラインのメディアとしてこの場所を発信していきたい」と意気込みを語った。

 物件探しで「青梅」の地名を初めて知り、地域の人と密に接することで「青梅が大好きになった」という山本さん。全国から来るサウナ客の大半が以前の自分と同じであることに触れ、「事業を通して青梅の魅力をもっと広めたい」とも話した。

 現在の利用状況は、土日はCFの支援者で7月末まで予約済み、平日は空きがあるという。施設の詳細や予約は公式サイトから。(https://jikonsauna.com)   (伊藤)

井戸水を利用した水風呂(左)と宿泊スペースの母屋