当コーナーは西武信用金庫と西多摩の地域メディア西の風新聞社のタイアップ企画です。創業5年以内で特色ある事業に取り組む西武信用金庫の取引先を支店担当者と本紙記者が訪ね、事業紹介と合わせて地域や将来への思いを聞きます。
経営手腕見込まれ事業継承
義父の興した部品加工の会社を2013年に承継し、その7年後に歯車・カムなどの外注先だったイシダ技研を買収。2社の社長を務める。電子メーカー勤務時代にモーターの部品開発で特許を取得するなど技術者として高い能力を持つだけでなく、承継後に発覚した約1億5000万円の累積赤字を10年で解消した経験から経営者としての胆力を身につけた。人並ならぬチャレンジ精神で新たな分野、取引先を自ら開拓し、業績を伸ばしている。
義父の会社を承継後、初めて詳細な財務状況を知らされ愕然とした。1億5000万円の赤字に対し、月商は16万円。ずさんな経理にリーマンショック後の不況が重なり、3人の従業員の給料も払えない状態だった。だが、後には引けない。腹をくくって営業に回り、自ら加工し納品する生活を続けた。給料は実父からの借り入れを充てた。
7年目に黒字化を達成した直後、イシダ技研の先代社長に事業譲渡を持ちかけられた。会社再建の手腕を見込まれてのことだった。設計から組立、量産まで一貫して行える仕組みのそろったイシダ技研なら、自社の不足を補える。願ったりかなったりの提案に「やります」と即答したものの、資金調達の壁が立ちはだかる。
資本金の規模を大きく超えた融資は「そんな下剋上みたいな例は聞いたことがない」と金融機関に相手にされなかった。それでも「覚悟を決めてやれば、神様は見てるんですね」。新型コロナ禍で融資条件が緩和され、必要な資金を調達できた。
イシダ技研の買収によりものづくりの環境が整うと、設計提案を売りにした新たな案件に対応できるようになった。岡山県内の著名な美術館からの依頼で昨年1月に納品したショーケースもその一つ。ラックとウォームギアを組み合わせ、電気を使わず開閉できるオリジナルの装置を開発、取り付けまで担った。
量産と試作、2つのラインを5つの製造拠点で動かして売上を積み上げ、従業員は2社合わせて24人に増えた。
義父の借金の肩代わりから始まった経営者としての不条理な運命を呪ったこともある。だが、逃げずに乗り越えることで自分が育った。組織づくりにも独自の哲学を持ち、従業員に求める行動として「感謝を伝えよう」「共に成長しよう」など10箇条を定める。「感謝の気持ちを持つと謙虚になる。謙虚になれば周りが助けてくれる」。実体験から生まれた言葉には説得力があり、その言葉が周囲を動かす。
苦難を乗り越えられたのは根っからものづくりが好きだったから。「小さな町工場でもこんなものができるのかというものを作るのが夢。それが人の役に立ち、社会貢献できるのであれば、この世に生まれて良かったと思います」と話す。

【プロフィール】きよかわ たかひろ
1980年福岡県生まれ、青梅育ち。日本大学生産工学部工学科を卒業後、第一電子工業(現フジクラ)入社。在職中、モーターのエンコーダーで特許を取得。2013年部品加工のアーテックを承継。20年M&Aでイシダ技研を承継、現在に至る。
株式会社イシダ技研
所在地:青梅市新町5-50-1
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【訪問者】西武信金 長岡支店 コーディネート担当 高橋さん(32)
清川さまのように何事もポジティブに仕事を進めていけば、自然と結果はついてくる。私ももっと前向きに仕事を進めていきたいと感じました。常に社員を思い、社員に信頼されているからこそ、大型案件にも一丸となって取り組めるのだと感じました。
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