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【羽村】町工場が初の自社製品 妻のアイデア形に 編み物道具

2026年1月1日

中島製作所

 羽村市の神明台工業団地にある町工場「中島製作所」(中島幹男社長)が販売する「i-cord NEEDLE(アイコードニードル)」は、毛糸を製品に掛けて引くだけで誰でも簡単に「リリアン(筒状の編み物)」が編める画期的な製品。「アイコードニードル」を使用して作った作品がSNSに掲載されるなど、編み物愛好家から注目を集めている。同市のふるさと納税返礼品に採用されるほか、フランスでも販売されるなど、町工場のものづくりの技術の高さを発信している。

アイコードニードルはさまざまな太さの毛糸に対応できるよう7サイズ用意

 同社は1959年創業。中島社長と弟の隆志さん、その息子の正人さん(47)=写真=の3人で営む。金属加工を得意とし、主に船や産業用機械の部品を手掛けている。製品は正人さんが、編み物が趣味の妻智子さんのアイデアをきっかけに開発。4年の試作期間を経て、2024年4月に創業以来初の自社製品として発売した。

 3本のメリヤス針を固定する持ち手部分はアルミニウム合金を採用。製品の厚み6㍉のうち4㍉を中空構造にするなど、軽量化にこだわった。また編み続けても針が動かないよう、針と持ち手の接続部は0・01㍉単位の精度で削り出している。機能性だけでなく、編み物道具のイメージを覆すクールでモダンなデザインも評判だ。

アイコードニードルで編んだリリアン。初心者もすぐに楽しめる

買い手の顔が見える製品を

 半導体製造装置メーカーで勤務していた正人さんは20年ほど前、会社を継ぐことを視野に中島製作所で働き始めた。図面通りに金属部品を加工することにやりがいを感じていた。だが、製品がどのように使われているかわからないことに物足りなさを感じ、いつかは買い手の顔が見える製品を手掛けたいと考えていた。

 そんな時、智子さんから「家庭用編み機のように複数本の針があり、持ち運びができる製品を作ってほしい」と相談を受けた。図面がない製品を作るのは初めての経験。休日を利用し、針の種類や間隔、突き出し量を変えながら試作を繰り返した。針の固定方法・持ち手の形状、生産効率なども検討した。

 なんとか形になった試作を知人の編み物教室の先生に使ってもらうと「良い製品だが、ずっと使うには重い」と言われた。今度は徹底的に軽量化。その結果、耐久性を保ちながら、わずか20㌘の製品が完成した。製品の販路開拓も簡単ではなかった。ロゴデザイン制作や販売方法の検討、海外輸出に向けた手続き…。受注生産では不要だった作業の多さに製品販売の難しさを感じた。

 それでも正人さんは「大変なことも多かったが、この歳で新しいことに挑戦できることが楽しかった。何より買い手の顔が見えて、感想が聞ける。これまでとは全く別の達成感が得られている。まだまだヒット商品とは呼べないが、今後はワークショップを開くなどして製品の魅力を広く発信したい」と話す。

 幼少期の神明台工業団地のにぎやかさを振り返り「最近は昔のようなガチャガチャ感が感じられず少し寂しい。高い技術力を持った町工場はたくさんあるのだから、地域の町工場が協力して一つの製品を作ることにも挑戦したい。そして工業団地に元気を取り戻せたら」と目標を語った。

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