当コーナーは西武信用金庫と西多摩の地域メディア西の風新聞社とのタイアップ企画です。3年目の2026年度は「若手経営者」「女性後継者」「100年企業」「個性豊かな名物社長」などのテーマで、西武信用金庫の取引先を支店担当者と本紙記者が訪ね、事業紹介と合わせて地域や未来への思いを聞きます。
青梅で都内唯一の生産直売店
霞川のほとり、青梅市師岡町で都内唯一の胡蝶蘭生産直売店を営む。市場を経由せず、鮮度を保った状態で提供する胡蝶蘭は花持ちが良く、葉も花びらも瑞々しくて美しいと評判だ。開業祝い、就任祝いや周年記念など特別なお祝いシーンに重宝されている。
祖父以前は米や野菜、父は菊の鉢植え生産と、代々続く農家の長男。中学1年で父を亡くし、一度は途絶えた家業だったが、高校時代に「自分が継ぐ」と決意した。普通科を卒業後、園芸専門学校在学中にホームセンターで目にした胡蝶蘭の美しさと収益性の高さに惹かれ、栽培の道に進んだ。
川越市で3年の研修を経て独立。2005年、実家の畑に温室を建て、苗づくりから生産を手がけるように。10年ほど経験を積んだ頃、主流になりつつあった台湾産の輸入苗を導入。栽培期間を2年半から6カ月ほどに大幅短縮して出荷量を増やし、卸売り先を開拓した。
19年には温室を増設し、今年1月に法人化。スタッフは当初の3人から10人に増えた。人材確保に苦戦する企業が多い中、同社には近隣から花好きの女性が集まってくる。冬暖かく、夏は冷房のきいた室内での作業が中心で屋外作業がないことも女性に好まれる理由ではないかという。
円安や資材高騰が収益を圧迫するが、単純な値上げは難しい。予算内でバランスよくボリュームを調整することで価格を据え置きつつ、大型・高品質を希望する客には高価格帯の商品を用意。同時に、現在1割にとどまる直売の比率を伸ばし、収益を確保したい考えだ。
長澤さんは「何かお祝い事があったとき、私を思い出してもらうことが大事」と、似顔絵入りの名刺を持ち、自ら配達にも向かう。人の集まる場所に積極的に顔を出し、覚えてもらう努力を続ける。
青梅に生まれ育ち、青梅青年会議所の経験もある。「青梅の発展のために何ができるか考えることがある」といい、今後は市の求めに応じ、ふるさと納税の返礼品提供などに取り組んでいく。
「仮に父親が元気で農業をやっていたら、自分はサラリーマンになっていたと思う」。選ばなかった人生に未練があるわけでなく、進路選択の時期になりたい職業はなかった。父の不在に苦労もしたが、歩んできた道に後悔はない。
未だ独身だが、「後継者をつくり、事業を引き継いでもらいたい」と前を向く。

【プロフィール】
長澤陽祐(ながさわ ようすけ)
1980年青梅市生まれ。弟、妹の3人きょうだい。2002年テクノ・ホルティ園芸専門学校栽培コース卒業後、有限会社森田洋蘭園に研修生として3年間勤務。2005年に独立し胡蝶蘭生産を開始。

【訪問者】西武信金 河辺支店 コーディネート担当 小笹さん(26)
創業のきっかけや、事業・地元青梅への想いをお聞かせいただき、とても貴重な経験となりました。「生まれ育った青梅に貢献したい」という長澤社長のように、私も株式会社ファレノクリスタルさまや地域の皆さまのお役に立てるよう活動していきたいです。
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