当コーナーは、西武信用金庫と西多摩の地域メディア西の風新聞社とのタイアップ企画です。3年目の2026年度は「若手経営者」「女性後継者」「100年企業」「個性豊かな名物社長」などがテーマ。西武信用金庫の取引先を支店担当者と本紙記者の伊藤寛子が訪ねます。
ものづくりで生きていく
檜原村のヒノキでエッセンシャルオイルや「木の酒」の製造を手がけるウッドボックス。「ものづくりを通じて人々を幸せにする」を理念に持つ吉田光世社長は、子ども時代の原体験を機にものづくりに目覚め、その後さまざまなキャリアを経て、檜原村の豊かな森林資源であるヒノキの事業に行き着いた。
きっかけは小学6年生の頃。当時から身長が高く、サイズの合う既製服がなかったことから、自ら悩みを解決しようとファッションデザイナーを志す。母親に買ってもらったミシンと布で服を作り始めたことが、「ものづくりで生きる」出発点となった。
都立工芸高校デザイン科を経て筑波大学へ。舞台衣装の制作に没頭したものの、憧れのブランドには実力が及ばず、デザイナーへの夢は一度断念した。大学卒業後、百貨店や広告代理店で過酷な環境を経験。日本航空の宣伝部で、経営再建期の故・稲盛和夫氏のもとで働き方や経理のあり方を学び、退職後は欧州を旅しながら、ものづくりへ回帰する道を模索していた。
帰国後、三鷹の事業所で世界レベルのエンジニア山口雄二現会長(当時社長)と出会う。山口さんからやりたいことを問われ、ヒノキのエッセンシャルオイル事業を提案。「仕入れて売るだけではダメ。ゼロから作るなら」という条件のもと、檜原村で実験を開始。試行錯誤を経て抽出に成功すると、山口さんが手製の蒸留器を10台製作してくれ、オイル事業が大きく前進する。
コロナ禍に制作したヒノキのマスクケースがヒットしたのを機に、本格的に檜原村で事業を行うことに。加工する素材の近くに拠点を置いた方が、より深くものづくりに向き合え、商売としても展開しやすくなると考え、同村に腰を据えることにした。2021年7月には、当時の村長が自作の蒸留器を高く評価したことが決め手となり、村から新たな事業を任されることになった。
ひのはらファクトリーと名付けた村の施設で、国家戦略特区制度を活用した檜原産のじゃがいも焼酎の製造や、世界初となる「ヒノキの酒」の開発などを手がけてきた。ヒノキの事業では海外ニーズを視野に、単なる効能だけでなく「日本の文化」という付加価値を打ち出す。村の文化や林業の歴史を伝える情報発信プロジェクトも計画中だ。
25年には山口会長から株式の100%を譲り受け、全責任を負う立場となった。子ども時代の悩みをクリエイティブな力に変えた時から、デザインを軸にものづくりの挑戦を続けている。

【プロフィール】
吉田光世(よしだ みつよ)
1978年杉並生まれ、筑波大学芸術専門学群卒。デザイン・広告業界を経て2014年ウッドボックス入社、2021年代表取締役に就任。檜原村を拠点に、国家戦略特区での焼酎製造や世界初のヒノキの酒/香り製品など、五感に響くものづくりを手がける。

【訪問者】西武信金 五日市支店 コーディネート担当 藤森さん(25)
吉田社長の当初の夢であるファッションデザイナーから広報会社勤務を経て、先代の山口さまよりものづくりの楽しさを学び、檜原村の魅力を伝えるために事業を営んでいる熱意が強く伝わってきました。今後もものづくりのご支援ができるよう励んでまいります。
住んでみたい
働いてみたい
遊びに行きたい



