Weekly News 西の風

東京西部 西多摩8市町村の地域紙 タブロイド版/毎週木曜発行

技術で恩返し、めぐる縁 ラッツ井上さんトイレ改修

2026年9月17日

 日の出ヶ丘病院(日の出町大久野)の1階トイレがこのほど、洗練された上質な空間へ生まれ変わった。同院は数年前にエントランスを高級感ある雰囲気に一新していたが、来院者が最も利用するトイレは無機質なままだった。「お客さまやご家族を一番におもてなしする場所が置いてけぼりだった」と担当者は振り返る。経営体制が変わり、念願だった改修工事が実現した。 

 施工を託されたのは、地元の塗装会社RATTUS(ラッツ)の井上恭平社長(40)。15歳で塗装の世界に入って以来、腕を磨いてきた。単に壁や床を塗るだけでなく、照明から色合い、床・壁材の選定まで、空間全体を自らデザインして一括施工するスタイルが同社の強みだ。

 「デザインを考えるのが好きで、『お任せ』と言われた方がやりやすい」。既存のパイプ類を隠す壁を新設しつつ点検口を自然にあしらうなど、熟練の技術とセンスで病院側が希望したエントランスと調和する温かい空間へと仕上げた。 

シックな雰囲気に改修されたトイレ。照明や鏡も井上さんの選定

 実はこの病院は、井上さんが約10年前に母をホスピスで看取った特別な場所だった。業者の紹介を経て現地を訪れた際、当時の記憶がよみがえり、最初は胸が締め付けられたというが、気持ちを切り替えて臨んだ。工事を終えた今、「まさか年月を経て仕事という形で関われるとは。母がお世話になった病院に自分の技術で恩返しができたことを光栄に思う」と、不思議な縁に感謝している。

 病院側は、良いものに仕上げようと提案を重ねる井上さんを単なる施工業者としてではなく「想いを持ったパートナー」として尊重。トイレを利用する人にそのストーリーを伝えるため、一角に井上さんの手紙を記した記念プレートを設置した。さらにトイレの中に観葉植物やアート作品を展示し、心安らぐ空間を進化させている。

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