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東京西部 西多摩8市町村の地域紙 タブロイド版/毎週木曜発行

【コラボ】西武信用金庫×西の風 Baton〜未来へつなぐ  vol.12 火加工の技術を次世代へ 青梅市 鬼塚硝子 鬼塚睦子社長

2025年1月1日


 当コーナーは西多摩地区に12の営業支店を置く西武信用金庫と西の風新聞社とのタイアップ企画です。西武信金の取引先であり、西多摩近隣で頑張る経営陣を担当支店の若手職員が訪ね、地域との関わりや未来への思いを聞きます。記事は原則毎月第2木曜に掲載、当面は女性経営陣を紹介していきます。


火加工の技術を次世代へ

 医療・工業用精密ガラス製品を製造する鬼塚硝子(青梅市今井)の2代目。先月逝去した先代の鬼塚好弘会長が1代で築き上げたガラス加工の高い技術力を売りに業績を伸ばしてきた。事業承継から8年、長く主力製品として会社の成長を支えてきた血液検査用ガラスセルの市場が成熟期を迎え、進むべき方向を見直す時期に来ているという。

 地元の大手非鉄金属企業をはじめ複数の製造業等勤務を経て2015年に入社。17年に社長に就任した。3姉妹の長女で、父が興した会社を「継ぐなら私だな」という思いは社会人になる頃から持っていた。だが、面と向かって「継いでほしい」と言われたことはなく、支援機関の後押しで社長になったものの、どのように会社を引っ張っていけばいいのかわからず戸惑う日々が続いた。そんな中でも新卒採用を取り入れ、組織の若返りを図るなどの改革に取り組んだ。

 2020年、会長が病に倒れ、舵取りを一人で担う状況に。窮地に立ったことで、これまで心を占めていた消極的な考えが消え、前を向くきっかけになった。

 承継時45人だった従業員は現在60人に増加。一方、好調だったガラスセルの売り上げが昨年伸び悩んだ。市場が成熟したことを悟り、本来得意としてきた職人の手作業による火加工の技術を再び強化する方向へと舵を切る。セルと違って大量生産できない分野だが、受注は年々増加している。業績低下により会社の強みが明らかになったという。

 必要不可欠なのが技術の継承。ただ、先輩の仕事を見て学び、失敗を重ねて自ら技術をものにするというかつてのスタイルは若い世代に適さない。ベテラン社員の側が若手一人ひとりに合った教え方を模索している。

 青梅商工会議所や三ツ原工業会で役員を務めるなど、顧客や取引先のいない地元での活動を大切にする。「工業会は父も発足メンバーの一人で、長くお世話になった組織。会議所も父の代からの長いお付き合い。恩返しの気持ちで私がやれることはやっていきたい」。と同時に、地域活動を通して地域での知名度が高まれば、高卒採用時などに有利に働くという考えもある。

 目指す会社像を問うと、「社員にはここで働いて良かった、お客さんには鬼塚硝子と一緒に仕事ができて良かったと思ってもらえる会社。社員の子どもが就職したくなる会社」と即答。経営者として規模拡大を一つの目標としてきたが、そればかりが会社づくりの醍醐味ではないことに気づいたという。

 65歳で引退し、世界一周の船旅に出かけるのが夢。ストレス発散法は友達との飲み会やパン作り。ビールと常温で飲む紹興酒、温野菜が好物。


【プロフィール】鬼塚睦子(52)
1972年生まれ。国立東京工業高等専門学校を卒業後、大手非鉄金属会社に入社。幾度かの転職で正社員、パート、アルバイト、派遣社員、嘱託社員、専業主婦などさまざまな働き方を経験。2015年に鬼塚硝子入社、17年代表取締役就任、現在に至る。


【訪問者】西武信金 三ツ原支店 コーディネート担当 吉原さん(24)
地域、従業員の方々への強い想いを伺うことができて感動しました。特に社員の方々が働きやすい環境をつくるために社長自ら意見を聞く場を設けているところが素晴らしいと思いました。社長の前職や夢、会社の今後についてのお話も大変勉強になりました。

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