インバウンド(訪日外国人)のまだ少ないあきる野市に、ピンポイントで外国人を引き付ける場所がある。小川東のラーメン店「五ノ神精肉店」。店は休業中だが、ここで開催される本格ラーメン学校「RAJUKU(ラ塾)」が彼らのお目当てだ。予約の絶えないラーメン学校とは。主宰者は、独自にラーメン道を切り拓いてきた行動家だった。
日の出町の鯉谷さん夫妻指導
「ラ塾」は、人気ラーメン店元店主の鯉谷剛至さん(54、日の出町)が主宰する外国人向けのラーメン学校。多くの生徒が受講するマスターシェフコースでは、数種類のたれ、スープ、香味油の作り方から製麺、盛り付けに至るまで、ラーメン店経営に必要な全ての工程を8日間で教える。期間中2日間は実際に店舗を営業するオペレーション体験も含まれている。

鯉谷さんによれば、外国人にとってはラーメンの本場、日本で技術を習得したということが非常に重要で、自国に戻って自身の価値を高める一番の材料になるという。ラ塾では海外で需要の高いビーガン(完全菜食主義者)や、豚肉・アルコール不使用のハラルにも対応しており、これも大きな魅力の一つという。
英語の得意な妻、千尋さんの強力なサポートのおかげもあり、開校から8年で卒業生が営む店は世界24カ国に計50近く。多くが成功しているそうで、中にはミシュランガイドに載るような上質な店も誕生している。
コロナ禍以前は予約待ちも出るほどの人気ぶり。最近は少し落ち着いたが、それでも最大4人のマスターシェフコースに毎月途切れず予約が入る。周囲もうらやむ好況ぶりだが、今に至るまでには「失敗もした。借金もした。でも常に行動したことが次の良い流れにつながった」と振り返る。


18歳で故郷の福島・いわき市を離れ上京。趣味で始めたラーメンの食べ歩きが1990年代後半からの「ご当人ラーメンブーム」と重なり、自ら店主になることを思い立つ。
32歳、杉並区方南町に「我流旨味ソバ」の店「地雷源」を開業。「人のまねはしたくない」との思いから敢えて「〇〇派」を名乗らず「我流」とした。
店を繁盛させ、家賃5倍以上の中野区へ移転した直後に東日本大震災が発生。自粛ムードで客足が途絶えたこともあり、炊き出しに東北へ。現地で振る舞った自家製麺の肉煮干し中華そばが大変喜ばれたことから帰京後、同じメニューを提供する店にリニューアル。再び繁盛店となった。
2016年、ブラジル・サンパウロでラーメン店の立ち上げに携わり、現地のラーメンブームの立役者に。外国人とラーメンの組み合わせの妙に気づき、ラ塾開校に至った。
もはや「何でもござれ」状態の鯉谷さんの次なる動きは町内での新店舗開業。鯉谷さん一家が町に移住する決め手となったつるつる温泉の手前に2月、中華そばの店をオープン予定という。
海外から帰国後、決まってつるつる温泉で疲れを癒やし、「つるつる温泉が好き過ぎて引っ越してきた」という鯉谷さん。「温泉に続くのどかな道を運転しながら、つくづく『日本は平和だな』と。この通りで店でもやれたらいいなと思っていたら、本当にそうなった。地元の人が気軽に食べに来れる店にしたい」と新店への思いを語った。
住んでみたい
働いてみたい
遊びに行きたい



