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【青梅】全国に顧客持つ漢方専門店 顔見て体調判断 体質改善相談も

2026年2月12日

薬やまと堂

 「少し胃が弱っているようだね」──。昨年末から腹の調子が優れない記者の顔を一目見てそう言い当てたのは、河辺駅北口から徒歩3分ほどの場所にある漢方薬専門店「薬やまと堂」の佐藤真司オーナー=写真。顔の血色やツヤ、目や口、肌の状態から、体内の気・血・水の乱れ、五臓の不調などを判断する「望診」を用い、一人ひとりにあった漢方薬を処方する。また客の話に丁寧に耳を傾け、性格や生活習慣、骨格などの情報から体質改善に関するアドバイスもする。

 同店は1983年創業。店には希少な生薬を原料とした漢方薬を多く取りそろえる。中でも希少性から市場で品薄となっている「」を含んだ漢方薬が安定的に購入できると評判。「牛黄」は1000頭に1頭のウシの胆のうにできる結石を乾燥させた生薬。煎薬用の生薬も販売しており、購入客には「煎じ機」を一定期間使い続けることを条件に無償で譲渡している。そんなサービスも喜ばれている。

 佐藤オーナーは「漢方薬は疾患の治療だけでなく、免疫力向上や、体のバランスを整えて病気を未然に防ぐ『予防』にもつながる。一時的な治療ではなく、再発しないようにアドバイスすることも心がけている。お客さまの健康にどこまでも寄り添い続ける店でありたい」と話す。

サラリーマンから漢方の道へ

 北区生まれ。明治大学で政治学を学び、在学中から政治家の下足番を務めるなど政治の道を志したこともある。だが、どうにも肌に合わず、日本水産(現・ニッスイ)に中途入社。同社が扱うクジラの肝臓などの廃棄物で健康商材を製造する日水製薬に出向させられたことが漢方の道に進むきっかけとなった。

 日水製薬では、クジラ肝臓から増血栄養剤、動物胆汁から胃腸薬を製造する事業などに携わった。次第に中国に渡り、漢方薬の輸入を始めるように。そこで出合ったのが「牛黄」。希少性の高い商材を扱うことに面白さを感じた。下足番時代の人脈を生かし、国内に持ち込むことが難しい商材の輸入も多く実現した。夜の街に繰り出すことも多く、体調を壊すこともしばしば。だが漢方を飲み始めると体調は一気に改善。効能の高さを実感した。漢方をさらに勉強したいと退職し、九州や関西などの有名薬剤師に弟子入りした。

望診学と漢方薬の組み合わせが評判に

 開業資金が貯まったのをきっかけに、予算が見合い立地条件の良い現在の場所に店を構えることに。だが、当時の河辺駅周辺は薬局が30店近くある激戦区だった。後発店のハンデは大きく、漢方薬だけでなく市販薬も全く売れなかった。食べていくため、日用雑貨の販売をしたり、夜は居酒屋や塾講師などをしたりして、なんとか食いつないだ。

 店頭では暇を持て余す毎日。状況を打破しようと漢方に関する本を読み漁った。そこで着目したのが「望診学」だった。「どうしましたか?」と声をかけ、客が症状を話す前に体調を判断し、適切な処方やアドバイスをする。そんなスタイルが口コミで評判を呼び、漢方薬を求める客が訪れるように。開業から13年でようやく経営が安定。それを機に現在の漢方薬専門店にリニューアル。佐藤オーナーの豊富な知識や経験を信頼する客は、遠方に転居してもやまと堂で漢方を求め続ける。結果的に全国に顧客を持つ店となった。

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