深沢を春も花咲く里に ハナモモ、ミツマタ植え15年 南沢忠一さん あきる野市

花盛りのミツマタ

初夏のアジサイで知られるあきる野市深沢。だが、この地が最も美しいのは色とりどりの花が見られる春かもしれない。あじさい山の南沢忠一さん(90)が深沢を花の里にしようと年ほど前から植え続けているハナモモが間もなく開花する。あじさい山にある山野草のイチゲやカタクリ、ハナモモの間に植わるミツマタは今が花盛りだ。

自宅前の山を50年かけてアジサイの山にした南沢さんが今、夢中になっているのは、深沢の春を花で満たすこと。15年ほど前、知人にもらったハナモモを植えたのが始まりで、それ以来、実生で苗を増やし、道沿いに植え続けている。

その数1000本超。赤、白、ピンクのハナモモの並木は今年ようやく穴沢天神社からあじさい山までつながった。モモより早い3月中に黄色の花を咲かせるミツマタも10年ほど前から植え続け、早春の山里をにぎわす名物になりつつある。

ハナモモは、種を拾い集めて畑にまいても発芽しないことが多いという。南沢さんは木の周りに落ちた種が芽を出した段階で畑に移植し、1年育ててから支柱を添えて道端に植えている。

「深沢の花咲かじいさん」こと南沢さん

「ハナモモは木ができて、人が見てきれいだと言うまでに、植えてから3年はかかる。花の盛りを見られるかな」と弱気なことを言う南沢さんだが、その目はもう来年を見ている。「来春には、神社からあじさい山の頂上まで約4㌔のハナモモの並木がつながる」と表情を輝かせた。(伊藤)