あきる野市 がん芋 第2の人生、焼き芋を提供

巌さん(右)と典子さん。店を開けているときはのぼりを出しているという
巌さん(右)と典子さん。店を開けているときはのぼりを出しているという

 あきる野市山田会館前交差点を北に行き、交差点を左折した場所で元塗装職人の佐々木巌さん(67)が自宅ガレージを使って焼き芋屋「がん芋」を営んでいる。茨城県産の蜜芋「紅はるか」を特製釜で、炭火で丁寧に焼いた「蜜焼き芋」(300円)を提供する。アルミの包みをとくと蜜が溢れ出す。

 佐々木さんは中学卒業後、塗装職人として働いてきた。上野動物園のパンダの檻を塗るなど大きな仕事もこなし、20歳で妻、典子さんと結婚。30代で独立して同市に移住した。

 仕事は順風満帆だったが、慢性的な関節痛が62歳の頃悪化。体が思うように動かず仕事ができなくなり、廃業を余儀なくされた。「自宅で過ごしていたら関節が固まってしまうかも」と、できる仕事を夫婦で考えた。巌さんが趣味のキャンプで孫に焼き芋を振る舞ったことを思い出した典子さんが「焼き芋屋をやるのはどうか」と提案。巌さんも焼き芋屋に興味がわき、開業に向け動き出した。塗装道具を置いていたガレージを店舗にし、昨年9月25日に開店した。

焼き上がった蜜芋。「1日置いてもしっとりしておいしいですよ」と巌さん
焼き上がった蜜芋。「1日置いてもしっとりしておいしいですよ」と巌さん

 焼き方は筒形の釜に炭火を入れて焼く「つぼ焼き」。自動車修理工のキャンプ友達がナンを焼くために作った特製釜で、2時間じっくり焼いても焦げつかず皮までおいしく食べられる。「職人だから味も食感も追及しちゃうんだよね」と巌さん。

 芋は複数の農家を自分の足で回って探し、問屋を介さず直接仕入れているという。「第2の人生だし、本当においしいものを食べてほしいから、多少採算が合わなくても食材にはこだわっている」と典子さん。

 不定休。店は8時から開けているが、焼き上がりは11時前後〜なくなり次第終了。電話予約を受け付けている。090(5645)9192まで。(藤野)

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