青果の移動販売「しおのや」開業 新鮮、美味、珍しい 奥多摩の塩野和之さん

しおのや横 奥多摩町氷川の塩野和之さん(33)が先月末、青果の移動販売「しおのや」を始めた。自ら運転するトラックに新鮮で味のいい野菜や果物を載せ、主に青梅市の長淵、千ヶ瀬、塩船、木野下辺りの買い物に出かけるのが困難なお年寄り宅を訪問している。
ニンジン、ジャガイモなどの常備菜に加え、ホクホクした食感のカボチャ「三浦」、紫アスパラガス、ネット通販で1箱3000円するミニトマト「麗」など、スーパーなどであまり見かけない珍しい野菜を取りそろえている。
調理を6年、営業を7年経験し、脱サラして起業した塩野さん。調理を通して食材の知識があるとはいえ仕入れのノウハウは素人に近い。営業で培った会話力で市場の人やお客さんから情報をもらいながら、質のいい商品を仕入れるよう努めている。
青梅市内で八百屋を営む目利きの知人を通して仕入れる品も多く、おかげで味の良さには定評がある。
週2回、青梅市長淵の池田製作所の前で塩野さんを待っている女性常連客のひとりは「どれもほんとに美味しい。たとえばこのバナナ」とエクアドル・田辺農園のバナナを記者に薦めた。一般的なキウイの2倍はある大きなゴールデンキウイも酸味と甘みのバランスが良く気に入っているという。
こうした口の肥えたお客さんの宣伝力は絶大だ。記者もお客さんに薦められるままにバナナとキウイを買った。
塩野さんは「お客さんの反応を見ながら勉強の日々です。始めたばかりでバタバタ忙しくしていますが、軌道に乗ったら訪問地域を広げ、買い物弱者の役に立ちたい」と話している。
毎週火・金曜午後3時ごろに長淵の喫茶店「くるくる」、同日午後7時ごろ千ヶ瀬の「ふぅ動物病院」の前で営業中。(伊藤)