昭島「藍染工房瑠璃玉」 伝統手法「天然灰汁発酵建て」を守る

藍染工房瑠璃玉(形山晃士朗代表)=昭島市宮沢町=は伝統的な本藍染にこだわる仕事を続けている。藍染の本場である徳島県出身の形山さんは34年前、美しい水を求めて昭島に工房を構えた。
工房では、徳島産の蓼藍を発酵させた「すくも」に、灰汁、日本酒、ふすま(小麦の皮)を加えて発酵させて染液をつくる。これが「天然灰汁発酵建て」という伝統的な手法で、化学的なものを一切使用しない。工房ではこれによる染めのみを「本藍染」と呼んでいる。 染液の入った甕の液面には、発酵によって生まれる泡である「藍の華」が浮かぶ。「華の形、匂い、液の触り心地で、その日のそれぞれの藍の状態がわかります。藍は、生きている染料であり、『天然灰汁発酵建て』による本藍染こそが美しい色合いを出す藍染の最良の手法です」と晃士朗さん(47)は言う。
工房では、藍液にろうや糊など不純物を入れる必要のない「絞り染め」という手法を用いて布を染めていく。不純物の混入は、藍にとって負担となると考えるからだ。
「絞り染め」は、布を糸で縛って染液に浸す手法で、染液の染み込まなかった部分がさまざまな模様となる。独特のにじみなど、藍の濃淡が美しく表現される手法だ。工房の創始者であり、藍染で芸術活動を行っている「アインディゴアート」代表の榮依子さん(78)は、絞り染めで絵を描く独自の手法で、藍の世界を広げる作品を手がけてきた。
今工房では、晃士朗さんと妻の容子さん(52)が、スカーフや服、小物など「暮らしに寄り添う藍染」に力を注ぐ。「藍は古くから人々に愛されてきたもの。化学染料が溢れる今、本物の藍の美しさ、その機能性を感じてほしい。深い藍は長く使う程に美しく色が変化していく魅力があります」と容子さんは話す。
同工房では本藍染の体験もできる。問い合わせはメール(info★ruridama.com)まで。(澤村)

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