NPO法人全国救護活動研究会代表で消防士の徳二郎さん(43、あきる野市牛沼)は、自宅敷地内に震災現場を模した訓練場を作り、全国から消防士など救命救助の専門職を受け入れている。一人でも多く救える命を救いたいと、訓練場で一般向けの体験プログラムも実施。自治会単位の講師依頼にも応じている。

木曽杉を使った自作のログハウスが八櫛さんの自宅。訓練場は自宅を囲うようにして数カ所に配置されている。震災時、建物や家具が倒壊した狭い空間での救助方法を学べる施設で、惨事対応で心が傷ついた消防職員らのストレスケアをする部屋もある。
八櫛さんは1998年から数人の消防仲間と災害現場で救命率を上げる研究に取り組んできた。次第に全国に仲間が増え、消防士だけでなく警察、医師、自衛隊など災害時に救護活動に関わる人を中心に延べ2000人が参加する研究グループに発展。2016年にNPO法人を立ち上げた。現在、会員は約400人。
研究会として自由に利用できる訓練場を持つことは、八櫛さんの念願だった。土地探しと並行し、7年かけて構想を練った。クラウドファンディングで集めた費用で材料を購入し、作業の大部分を仲間と分担。2018年に手作りの訓練場が完成した。この施設に年2回、全国から約100人の消防士が集まり、フル装備で訓練を行っている。

このうち一般の人も体験するのが、ガレキで埋まった狭い地下通路を自力で脱出する訓練。地震で建物や家具が倒壊し、停電した状況を模した空間だ。「震災時には家具が倒れるか倒れないかで生死が分かれると言えるほど、家具を固定することには大きな意味がある」と八櫛さん。倒壊現場の体験と家具転倒防止の重要性を結びつけて語ることで防災意識を植え付ける。

一般向けの活動として力を入れているのは、国が町内会・自治会単位で作成を促している地区防災計画の作成を手助けすること。国のガイドラインに「作成には専門家のサポートを必要とする」とあるため、身近で専門家を見つけられず取り組めていない地域が多いという。
市内では昨年12月に菅生町内会が作成に向けた最初の会合を持ち、アドバイザーとして八櫛さんが携わった。今後、計画を完成させ、実践的な避難訓練をサポートするつもりだ。
「大きな災害が起きたら、消防隊は被害の大きな現場に掛かりきりになり、皆さんのところへは助けにいけない。1割の地域の人の活動で9割の命が救われる」と、実際に動ける自主防災組織にしていくことが大事だと説く。
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