あじさい山の50年は「祈り」 花、音楽にできることがある あじさいアンバサダー 加藤登紀子さんが思うこと

 秋川渓谷あじさいアンバサダーの加藤登紀子さんが、25日の「100万本のアジサイ音楽祭」でヒット曲「百万本のバラ」を披露する。2019年の植樹、20年の開山50周年記念イベントにも参加。3度目のあじさい山来訪となる。ウクライナ侵攻に心を痛め、コンサートツアーの最中でもある登紀子さんに、いま胸にある思いを語ってもらった。

 なぜ人々は、自分の果たせない夢とか、寂しく散っていく命とか、そういうやるせない思いを花に託して歌ってきたのでしょうか。なぜ私の歌う「百万本のバラ」が、人々に勇気を与えてきたのでしょうか。

 「国にはできなくても、人にはできることがある。人にできなくても、音楽にできることがある。」

 五日市憲法草案を作った人たちも思ったでしょうが、国を変えるのは実に大変。でも私は、国としてはできなくても、人としてはできることがあるはずだと考えてきました。難民問題や国際協力しかり。人は国よりずっと自由です。しかし残念ながら人も制約の中に生きている、不自由な存在。それでも人が果たしたことは残る。作られた芸術は生き延びる。だからこそ人は音楽をし、花を咲かせるのです。

 90歳を過ぎるまで50年以上、あじさいを植え続けた南沢忠一さんの50年とは何だったのかと考えます。祈りですよね、これは。50年植え続けた結果、ここに花がある。忠一さんの生きてきた歴史が花に具現されている。生き続けているものがここにある凄さを、若い人にも「わかる!」って思って欲しいわけです。

 あじさい山は忠一さんから若い世代へ、「引き継ぐ」ということがテーマの一つになっているようですが、私の中でも次の人に何を手渡せば歴史が伝わるのかというテーマがあります。ロシアとウクライナの戦争が始まる前は、過去の話をするだけでは伝わらないと思っていました。でも今、戦争をまざまざと見せられているこの時に、私たちにも戦争をした歴史があり、加害者でもあったということを語らないといけないんじゃないかと思っています。

 コロナの間、できるだけ人と会わないようにしていました。これって何かと言ったら、「死んだ後なんだ」と思いました。何かを思っても、相手に伝えることができない。この2年で、死ぬ練習はいっぱいできました。ただ、そのうちいなくなるとしたら、やっぱり伝えなきゃいけないことがある。歌を歌う者として。

 アジサイ音楽祭でお会いしましょう。

インフォメーション

■加藤登紀子ニューアルバム発売中。戦争により故郷ウクライナを追われた人を支援するため、売り上げは認定NPO法人日本チェルノブイリ連帯基金に寄付される。オリジナル新曲「声をあげて泣いていいですか」「果てなき大地の上に」、反戦歌「花はどこへ行った」「イマジン」など7曲収録。2200円。

■直近コンサート Bunkamuraオーチャードホール(渋谷区)6月18日15時15分開場、16時開演。S席7500円、A席5000円。チケット購入・問い合わせは03(3352)3875トキコ・プランニングまで。