青梅市長選に行こう!  国立奥多摩美術館館長が公開討論会に行って来た

 「選挙に行こう!」という言葉は選挙のたびに耳にする。物知り顔の大人に日常生活の不平不満を漏らすとおおむね「選挙に行かなきゃだめだよ」と口にする。日常のあらゆる事をある程度考えていくと、おのずと政治の話になる。その政治を動かす人を選ぶのが選挙だ。それはわかっている。だから、ここ数年は選挙があるたび、とりあえず投票所に行っている。

 「とりあえず」というのは、投票所に行っても誰に投票したら良いのかわからないから、とりあえず白票を投じたり、ポスターを見て印象の良い立候補者の名前を書いてみたりしていた。ちゃんと候補者を知ろうとして調べればいいのだが、選挙期間中、街中で自らの名前だけを連呼している候補者の姿を見ていると、そんな気持ちも失せる。

 そんなこんなで、この大切なイベントに「とりあえず」参加していることが毎回苦痛だった。すごく不誠実なことをわざわざ投票所までやりに行っているような、罪悪感を味わいに行くような気がしていた。なんとも気持ちの踊らないイベントだ。だから、投票に行かない人の気持ちはわかるつもりだ。

 でも、いつか候補者のことをちゃんと調べて知って、思いを持って、投票所に行くことをしてみたいと思っていた。そんな折、青梅市長選の公開討論会があることを知った。これは立候補者を知り、ちゃんと投票するチャンスかもしれないと思い会場に足を運んだ。

 今回の青梅市長選には、浜中啓一氏と、大勢待利明氏の2人が立候補を予定している。現市長の浜中氏に、新人の大勢待氏が挑む形だ。今回の討論会は、全国各地で公開討論会を企画する団体が中立公平を掲げたルールを設け、その下で2人の話を聞くという会だった。その様子はYouTubeでアーカイブ視聴できる。青梅市民には、ぜひ見てほしい。

 喧々諤々、議論を戦わせるようなことはなかったが、それぞれの人となりや考え方に触れられ、ポスターだけを見て投票するよりも、この人に市長になってもらいたいという実感を持って投票ができると思う。

 政治や選挙の話のたびに、僕は海に浮かぶ船を想像する。今回の市長選は、青梅市という船の船長を誰にするのかという話だ。議員選挙のように船の乗組員の代表を決める選挙より、市という小さな船の船長を決めるというのは、とてもイメージしやすい。小さな船だからこそ、船長の舵取りは船の挙動にそのまま表れる。

 とにもかくにも否応なく、青梅に住んでいる以上、市民はみんなこの船に乗っている。船長の舵取り次第で、風を順風満帆に受け軽快に進むのか、はたまた嵐に突っ込んで行くのかが決まる。そんな船長を決めることに、毎回4割ほどの乗組員しか参加していないらしい。約6割の人は、船長が誰になっても、どこに連れて行かれても、不平不満も漏らさず従順に従うのか。そんな、物言わぬ乗組員によって、現状の選挙は支えられ、政治は行われている。

 現在地位を得ている政治家の本心は「私に投票しないなら選挙になんて興味を持たないで、投票日は黙って寝ててくれ」と思っているようにも思う。そんなふうに考えていると、選挙に行かないなんて悔しくて、意地でも行ってやろうという気持ちになる。

 でも、誰に投票したらいいのかわからず、いつも自らの不誠実さだけを痛感して泣き帰ってくる。今回も正直、2人の候補者について、わからないことだらけだ。でも、この討論会を通して、今までより少し実感を持って、自分事として、この市長選に参加しようと思った。

 青梅市長選は11月12日投開票。とりあえず選挙に行こう!これを読んで選挙に行こうと思う人が一人でもいてくれたらうれしい。今回、勝手に青梅市長選に行こうキャンペーンをやっていこうと思っている。 (佐塚真啓)