当コーナーは、西武信用金庫と西多摩の地域メディア西の風新聞社とのタイアップ企画です。3年目の2026年度は「若手経営者」「女性後継者」「100年企業」「個性豊かな名物社長」などがテーマ。西武信用金庫の取引先を支店担当者と本紙記者の伊藤寛子が訪ねます。
家業は農機具屋、夢は億万長者
「夢は億万長者」。橋本機械の橋本万奈代表取締役(予定)はそう即答した。迷いも照れもない。欲しいものは欲しい、ひらめいたらすぐやる。お金と商いに対して、ひたすら正直な人だ。
子どもの頃、家業に全く関心がなかった。「パン屋さんとかケーキ屋さんとか可愛いお店がよかった」と思い続けた。ただ、商売のセンスは祖父譲りだとよく言われる。祖父は葬式の列で耕耘機を売ってくるような人だった。橋本さん自身も、競馬場で隣になった人にチェンソーを売った経験がある。
原点は美容師時代にさかのぼる。現場3カ月目、シャンプーの合間に「見習いでもシャンプーを売れば儲かる」と気づき、月80本を販売。新人300人中2位となり、報奨として無料でハワイへ。「ひらめいたらすぐやる」気質は、この頃から際立っていた。
結婚・妊娠を機に美容師を辞め、ハンドメイドアクセサリーをファッションビルに卸した。コロナ禍で販路を失うと手作りマスクを店頭で販売。1日150個が2時間で売り切れ、月100万円超を記録した。
次に目をつけたのはFX(外国為替)。海外FX専用の自動売買システムを考案、外注に販売させて利益を得る仕組みを構築した。在庫も固定費も不要なオンラインフランチャイズ型で、現在の利用者は約4000人にのぼる。
農機具業界でも動いた。2020年、音声SNSにチェンソーを持った写真を投稿すると、「チェンソー持った女」がバズり、1日でフォロワーが15万人を突破。その後、インスタグラムに投稿を続けると全国からファンが訪れ、蜂の巣除去器を紹介すれば1週間で150個が売れた。若い女性が前面に出るのは稀だった農機具業界にいち早く切り込んだ。
名刺の肩書きは「代表取締役」だが、その後に「(予定)」がつく。父は生涯現役の意向で、実質的には父の引退を待つ形だ。今は自分が動かせる範囲は自分の裁量でやり、専門性の高い分野は父に振る。特に衝突もなく棲み分けできているが、求められればいつでも会社を引き継ぐ気持ちは固まっている。
農林業が盛んな西多摩で、農機具屋は地域に欠かせない存在だ。廃業が相次ぐ農機具業界を「廃業した店の設備ごとフランチャイズ化すれば、買い手も売り手もハッピー」と構想する。部品販売のオンライン自動化もメーカーに提案し続ける。
「儲かりそうなことをやったら、思わず世の中の役に立っていた」が彼女の商いの形。悩みを抱えても、寝たら忘れる。「万奈の『万』は1万円札から取った」という名前の由来の通り、この先もお金の匂いを嗅ぎつけながら動いていく。
【プロフィール】
橋本万奈(はしもと まな)
山野美容芸術短期大学卒業後、美容師を経て2011年に橋本機械へ入社。24年にはインターネット広告事業などを手掛ける合同会社デアリングタクトを設立。金融市場への関心も高く、FXや先物取引、仮想通貨など幅広い分野に挑戦中。

【訪問者】西武信金 五日市支店 コーディネート担当 髙木さん(29)
美容学校卒業後の歩みを深掘りできた有意義な時間でした。将来の夢を「億万長者」と即答し、挑戦を続ける万奈さまの圧倒的な行動力に深く感銘を受けました。今後もこの学びを活かし、地域の挑戦を全力でご支援できるよう業務に励んでまいります。
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